【2020年版/招聘の場合】永久居留証を取得:申請準備~実際の申請~失効規定までを取得者が解説【取得希望者必見】

 台湾で働いてから昨年末で満5年になり、ついに台湾の永久居留証(永住権、APRC)を取得できました!

 永久居留証の取得は、手続きが面倒くさそうなイメージがありますが、現在は昔に比べて手続きが簡略化されているようで、予想していたよりはずっと簡単でした。

 この記事では、申請の前に必要な情報(申請条件や必要書類など)から、実際に申請する際の手続きの流れ、そして取得後にどうすれば維持できるのかまで、2020年2月に永久居留証を取得した筆者の経験をベースに解説していきます。

 取得を今まさにしようとしている方だけでなく、将来的に取得を考えている方にも知っておいてもらいたい情報が含まれているので、ぜひご覧いただければと思います。

注意
申請の必要書類は、在留資格によって異なります。私は「招聘」(應聘)の資格で過去5年間滞在していたので、下記で紹介する手続きは、「招聘」資格の居留証から永久居留証に切り替える場合のものです。(2020年1月当時の情報、今後変わる場合もあります)


ちなみに、永久居留証には2種類あり、高度人材や功労者、投資移民向けの「梅花卡」もあります。私が申請したのはもちろん「梅花卡」ではなく、普通の永久居留証です。

<関連記事>永久居留証を取得すると何かいいことがあるの?と疑問に思った方は、永久居留証のメリットについて解説した下記記事をあわせてご覧ください。

【2020年版】台湾で永久居留証を取得したらできるようになること・メリット4選【取得者が解説】 【2020年版】台湾で永久居留証を取得したらできるようになること・メリット4選【取得者が解説】

申請前に必要な情報

 取得を考える人に知っておいてもらいたいこと

 説明に入る前に、永久居留証の取得を考えている人にぜひとも知っておいていただきたいことがあります。それは、

3カ月以上連続で出国しない!

ということです。

 これによって、申請時に必要となる書類を集める手間が大幅に削減されます。
やむを得ない事情を除いては、このことを頭の中にいれておくといいと思います。

 詳細は必要書類の部分で説明します。

 申請条件一覧

 ここからが本題です。
 永久居留証を申請するには、一定の条件を満たしている必要があります。

 下記が必要な条件です(招聘の場合)

申請条件一覧

1. 満20歳以上
2. 中華民国国籍を有していない
3. 台湾(中華民国)に5年連続で合法に居住し、毎年の滞在日数が183日を超えている
4. 3.を満たしてから2年以内
5. 永久居留証申請時、外僑居留証(ARC)が有効な状態である

上記をすべて満たした上で、下記のどれか一つに合致

・最近一年の総収入が労動部が発表している最低賃金の二倍以上
・台湾内の動産および不動産の概算価値が合計500万台湾元以上
・台湾の政府機関が発行する専門職業、技術者、技能検定証明書類を有する
・内政部移民署から認定を受ける

これらの条件を詳しく見ていきます。

 満20歳以上

 中華民国国籍を有していない

 仕事で滞在している日本人の場合、上記はほとんどの人がクリアしていると思われます。

 台湾(中華民国)に5年連続で合法に居住し、毎年の滞在日数が183日を超えている。かつ上記を満たしてから2年以内

 ここの「合法に5年連続かつ毎年半年以上滞在」をクリアした上で、「2年以内に申請」というところがポイントです!

 移民署のHPではこのように説明してあります。

申請永久居留,外國人應於我國合法連續居留五年,每年居住超過一百八十三日之期間屆滿後,二年內申請。

移民署中文網:外國人申請永久居留送件須知

 さらに、この期間には落とし穴があります。それは

  • 就学および出稼ぎ労働者(外籍労工)として台湾に滞在していた日数は永久居留証を申請できる日数に含めない

 という事項です!

 なんてシビア。

 ちなみに、私は働く前に台湾で約3年間大学院生生活をしており、台湾在住歴は8年になるのですが、最初の3年間は日数にカウントされないため、5年働いてようやく申請可能となりました。

 収入も条件になります。

 最近一年の総収入が労動部が発表している最低賃金の二倍以上

<参考>
2019年1月~の最低賃金は月額23,100元=年収換算55万4400元
/2020年1月~の最低賃金は月額23,800元=年収換算57万1200元

 企業が外国人を「専門性技術性」のある仕事に従事させる場合、月平均4万7971元以上(2020年2月現在)の給与を与えないといけないと労動部によって決められているので(一部例外の職種あり)、会社から工作許可証を申請してもらった上で居留証を取得している人の場合は、おそらくこの収入の条件はクリアしていると思われます。

参考 聘僱外國人從事專門性技術性工作之最低薪資限制為何?労動部労動力発展署

 択一条件のその他3つのいずれかで申請する人は例外的だと思うので、ここでは省略します。

 永久居留証申請時、外僑居留証(ARC)が有効な状態である

 これも重要。
 現在所持している居留証の期限よりも、永久居留証を申請可能になる日が先の場合、先に一度居留証の更新手続きを行う必要があります。

筆者
筆者

私の場合、居留証の期限が11月30日、永久居留証を申請可能になる日が12月2日だったので、この間の数日の穴を埋めるために、12月1日以降の労働許可の取得とARCの更新手続きが必要でした。申請費1000元がもったいないけど致し方ない。

POINT
申請する前に移民署で「いつから申請可能になるか」確認しましょう。 永久居留証がもうすぐ申請できそうな時に移民書に手続きに行く場合は、その時に尋ねるのがおすすめです。

 私は更新手続きに行った時に、「いつから申請できるか」「何が必要か」を念のため聞いていました。

 そうすると、移民署の職員の方は丁寧に、下記の用紙をくれました。
必要な書類にマーカーも入れてくれて、本当にありがたい。

永久居留証申請の流れ
永久居留証申請の流れ(移民署提供資料を撮影)※クリックで拡大できます
参考 外國人申請永久居留送件須知移民署中文網

 必要書類一覧

 続いて、申請手続きに必要な書類を紹介します。(招聘の場合)

必要書類一覧
  1. 申請書(移民署でもらうか、移民署HPでダウンロード)
  2. 申請用証明写真1枚(正面、カラー、脱帽、2インチ:3.5cmx4.5cm)
  3. 有効な外僑居留証 正本とコピー1枚
  4. 新・旧旅券(パスポート) 正本とコピー1枚(個人情報欄)
  5. 直近5年の警察刑事記録証明 正本
  6. (連続5年で合法に居留した期間中、連続3カ月以上出境したことが場合のみ)健康検査表 正本
  7. 収入、財産または特殊技能証明書(納税証明書など)
  8. 現職の工作許可証 正本とコピー1枚
  9. 会社発行の在職証明書(発行から1カ月以内)
  10. 申請費1万台湾元

 このうち、1.~4.、8.~10.は説明不要だと思うので省きます。

 直近5年の警察刑事記録証明

 これは、その人の条件によって「本国と台湾両方」で取得する必要があるか、「台湾のみ」でいいか異なります。

過去5年で1回あたり3カ月を超えて出国したことがある
本国と台湾両方

「過去5年で毎回の出国が3カ月以内
台湾のみ

 移民署のHPには下記のようにあります。

外國人於合法連續居留五年期間,每次出國在三個月以內者,得免附健康檢查合格證明本國警察紀錄證明書

移民署中文網

 毎回の出国が3カ月以内の場合、健康検査表の提出も免除になります。

 台湾での警察刑事記録証明書(通称:良民証)は内政部警政署への申請が必要になります。

 申請は所定の警察局またはオンラインで可能です。

 詳しい手続きは下記の記事にまとめてあります。

警察刑事記録証明書(良民証) 【2020年版】警察刑事記録証明書(無犯罪証明)を取得:必要書類から申請手続きまで、経験者が写真付きで解説

 私は本国(日本)での警察刑事記録証明は不要だったので、こちらに関しての詳しい説明は控えます。

 ただ、日本で警察刑事記録証明(日本語では「無犯罪証明」や「犯罪経歴証明」など)を取得した知り合いによると、「最終住所登録地」の警察でしか手続きができないようです。

 参考までに警視庁やいくつかの県のHPを確認したところ、上記の認識で間違いないようでした。違う都道府県もある可能性もあるので、各自でご確認ください。

参考 渡航証明(犯罪経歴証明書)の申請について警視庁

 また、移民署の説明によると、日本の警察で発行してもらった無犯罪証明書は、現地の代表処や弁事処などで認証を得る必要があるそうです。

 かなり複雑…。

 これが冒頭で

3カ月以上連続で出国しない

 とおすすめした理由です。

 収入、財産または特殊技能証明書

 これは、前述の「申請条件」の中の「4者択一」の条件に合致する書類が必要です。

 私は「納税証明書」(正本・コピー1枚)を提出しました。

 納税証明書は確定申告の時に発行してもらうのが便利だと思います。
私は居留証の申請にも納税証明書が必要だったので、毎年の確定申告時にはいつも発行してもらっていました。

「申請条件」「必要書類」は以上です。

実際の申請手続きから受け取りまで

 以下では、実際の手続きから受け取りまでの流れを順を追って紹介します。

申請場所は?

 →居住地の移民署サービスステーション(服務站)でできます。

 居住地のサービスステーションは移民署公式サイトで確認できます。

 私は台北在住なので、小南門の移民署サービスステーションに行きました。

内政部移民署台北サービスステーション外観
住所:台北市中正區廣州街15號
カウンター受付時間:
月~金 08:00-17:00 (昼休みなし)
火、木は17:00~19:00も可(要予約)
電話:02-2388-5185 (總機) 
FAX:02-2331-0594

 

 入り口で申請書と番号札をもらって、申請書を書きながら順番を待ちます。

筆者

なぜかわかりませんが、11月に行ったときも今回(2019年12月訪問)も、オープンしているカウンターが少なく、ロビーにいる人はそんなに多くないのに、順番が来るまで外で軽くランチを済ませて戻ってこられるくらいの時間待ちました。前はもっとサクサク順番が進んでたのに。

 公式サイトでは待ち人数と現在何番まで進んでいるか確認できます。申請に出かける前に一度確認してみるといいかもしれません。

 申請自体は10分もかからずに終了しました。私の場合は、特に書類の不備を指摘されることもありませんでした。受取日については、移民署から別途書類が届くということで、その日まで待ちます。

受け取り方法は?

 申請してから20日後、会社に移民署から書類が届きました!

 封筒に入っていたのは移民書の公文書ペラ1枚で、
 ・発行が認められました
 ・受け取りについては移民書の担当者に電話して確認してね

ということが堅い文章で書かれてました。

筆者
筆者

 移民署の公式サイトには発行日数が14営業日と書かれていましたが、私の場合は途中に旧正月を挟んでいたので、書類が手元に届くまでの日数は20日とやや長めでしたが、移民署の公文書に掲載されていた電話番号に受け取りについて確認したところ、3日後から受け取り可能ということだったので、営業日で数えると申請から正味11日でした。公式アナウンスよりもやや早かったです。

 受け取り可能日以降に、

・公文書
・申請時にもらったレシート
・現在所持している居留証

を持って移民署に受け取りに行けば、永久居留証を手にすることができます。

永久居留証と居留証、見た目の違いは?

 永久居留証の見た目は居留証とほぼ変わりません。
 

 違うところは、

種類(類別)が「外僑永久居留証」になった
居留期限、居留事由、勤務先の記載が無くなった

という点です。IDナンバーは切り換え前の居留証と同じです。

私は永久居留証を受け取るついでに、e-Gate(出入国自動ゲート)の登録も済ませました。e-Gateの登録にはパスポートが必要なので、一緒に持っていくと便利です。
今まで居留証を更新するたびにe-Gateの登録も改めてしないといけなかったので、、この手間も省けるようになるのは地味にうれしいです。

筆者

 永久居留証の実際の手続きから受け取りまでの流れは以上です。

永久居留証、どうすれば維持できる?

 せっかく苦労して取得した永久居留証、知らないうちに「失効してしまった!」ということになると困ります。失効規定についても調べました。

 まず、結論から言えば、外国人専門人材の場合は出国して5年以内に1度でも入国すれば、失効はしません

 詳しく見ていきます。まず、永久居留について定めた「出入国及移民法」第33条では、以下の記載があります。

第 33 條
入出國及移民署對有下列情形之一者,撤銷或廢止其永久居留許可,並註
銷其外僑永久居留證:
一、申請資料虛偽或不實。
二、持用不法取得、偽造或變造之證件。
三、經判處一年有期徒刑以上之刑確定。但因過失犯罪者,不在此限。
四、永久居留期間,每年居住未達一百八十三日。但因出國就學、就醫或
其他特殊原因經入出國及移民署同意者,不在此限。

五、回復我國國籍。
六、取得我國國籍。
七、兼具我國國籍。
八、受驅逐出國。

「出入国及移民法」第33条/全国法規資料庫

 よく言われる「183日規定」はこの「四」の部分に書かれています。(その他の項目についてはレアケースだと思うので、ここでは言及を避けます)

 「四」は「永久居留期間、毎年の居住日数が183日に満たない場合。ただし、留学や医療受診、その他特殊な原因によって出入国し、移民署の同意を得た者はこの限りではない」という内容です。

 ですので、基本的には、年間の居住日数が182日以下の場合は、「ただし」以下の条件を満たさない限り失効することになります。

 ですが、「外国人専門人材」に限っては、外国人人材の誘致や雇用について定めた「外國專業人才延攬及僱用法」(2017年11月22日公布、通称外国人雇用)で下記の内容が設けられています。

第 18 條
外國專業人才經內政部移民署許可永久居留後,出國五年以上未曾入國者
,內政部移民署得廢止其永久居留許可及註銷其外僑永久居留證,不適用
入出國及移民法第三十三條第一項第四款規定。

「外國專業人才延攬及僱用法」第18条/全国法規資料庫

 「外国人専門人材は内政部移民署により永久居留の許可を得た後、出国から五年以上、一度も入国していない者について、内政部移民署はその永久居留許可を廃止し、外僑永久居留証を取り消すことができる。出入国及移民法第33条第1項4の規定は適用されない」という内容です。

 ここで登場する「出入国及移民法第33条4」がまさに前述した「183日規定」の根拠となる条文です。2017年に施行された「外国人雇用法」では例外として、「外国人専門人材には183日規定を適用しない」としています。

 では、ここで言う「外国人専門人材」(外國專業人才)とはどういう人なのか?というと、外国人雇用法の第4条ではこう定義されています。

第 4 條
本法用詞,定義如下:
一、外國專業人才:指得在我國從事專業工作之外國人。
二、外國特定專業人才:指前款外國專業人才中具有中央目的事業主管機
關公告之我國所需科技、經濟、教育、文化、藝術、體育及其他領域
之特殊專長者。
三、外國高級專業人才:指入出國及移民法第二十五條第三項第二款所定
為我國所需之高級專業人才。
四、專業工作:指下列工作:
(一)依就業服務法第四十六條第一項第一款至第六款之工作。
(二)具專門知識或技術,且經中央目的事業主管機關會商教育部指定依
補習及進修教育法立案之短期補習班教師。

「外國專業人才延攬及僱用法」第4条/全国法規資料庫

 「外国人専門人材」をおおざっぱに言えば、日本人の場合は「招聘(應聘)の在留事由で居留許可を得た人」のほとんどはこれに当てはまるのではないかと思います。平たく言えば、「就労ビザで台湾に住んでる人」です。

筆者
筆者

 外国人のホワイトカラー人材でもランクがあって、「専門人材」よりも「特定専門人材」や「高度専門人材」のほうが要求される専門性の難易度が上がります。私はフツウの「専門人材」です。

参考資料

 本記事は、筆者が2020年2月に取得した際の経験をベースにしています。台湾ではルールがコロコロ変わるため、実際に申請に行かれる際は、必ずご自身で最新の情報をご確認ください。また、失効規定も変更される可能性がありますので、もし台湾をしばらく離れる予定がある方は、必ずご自身で移民署にお問い合わせください。

繰り返しになりますが、上記は「招聘」(應聘)の資格で在留している場合の手続きです(2020年1月現在)。配偶者(依親)や投資などの在留資格からの切り替えの場合は異なる部分があります。

参考 外國人申請永久居留送件須知内政部移民署公式サイト

あわせてやっておきたいこと

 永久居留証を取得すると、「外国人工作許可証」(外国人労働許可証)も申請できるようになります。私はその足で申請に行きました。
 必要書類や申請場所、申請の流れなど詳細については下記の記事にまとめています。あわせてご覧いただくことをおすすめします!

外国人工作許可証 【2020年版】外国人工作許可証を取得しよう!手続きの流れを取得者が写真付きで解説

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