この夏は日本で台湾映画の公開ラッシュ!!!ななななんと、5本もの台湾映画が6月下旬~8月にかけて公開されます。
そこで、台湾でこの5本を一足先に見たkuroqieが、「どれを見ようかな」と迷っているあなたに、タイプ別におすすめの作品をご紹介します。
目次
『親愛なる君へ』(親愛的房客)は、同性愛、介護、養子縁組などの問題を盛り込みながら、家族の形について考えさせる作品です。主演はモー・ズーイー(莫子儀)。この作品はズーイーの代表作といっても過言でないほど、その繊細な演技で、演じるジエンイー(健一)というキャラクターの芯の強さ、優しさ、苦悩などを観客にひしひしと伝えます。すごく切ないのだけれど、家族とは何か、そして自分自身と家族の関係について見つめ直させてくれます。人物の心の描写に長けたチェン・ヨウチェ(鄭有傑)監督の力量も感じます。
公式サイト:http://filmott.com/shin-ai/
- 心を揺さぶられる作品が見たい人
- 家族の関係について考えたい人
- モー・ズーイーが好き、気になる人
「全編iPhoneで撮影」という触れ込みで台湾で注目を集めた『恋の病 潔癖なふたりのビフォーアフター』(怪胎)。新鋭監督のリャオ・ミンイー(廖明毅)がメガホンを取りました。リャオ監督は今年の台北映画祭のPRフィルムの監督に抜擢されるなど、乗りに乗っている台湾の映画監督。長編デビュー作となった今作では、ニッキー・シエ(謝欣穎)とリンボーホン(林柏宏)を主演に迎え、「潔癖症」と「愛情」が交わる奇妙な世界観を、一風変わった手法で描きます。「選択」や「パートナー選び」についても考えさせられる作品です。主演2人の魅力あふれる演技にもご注目ください。
公式サイト:http://filmott.com/koiyama/
- 甘くない恋愛映画が見たい人
- iPhoneで撮影された映画に興味がある人
『日常対話』は、ホアン・フイチェン(黄惠偵)監督とそのレズビアンである実の母親の関係にスポットを当てたドキュメンタリー映画です。LGBTの人とその家族の複雑な思いが当事者としての視点で描かれます。台湾では2017年、同性婚を保障しない法律が「違憲」だと判断され、2019年には同性婚が合法化されました。この作品は台湾では2017年に公開されたので、撮影されたのは合法化以前の時代です。台湾は同性婚が合法化されたことなどから、性的マイノリティーに寛容なイメージを持つ人が多いと思いますが、「レズビアン当事者」とその家族という極めて私的な関係を写したこの作品からは、LGBTの問題についてまた一つの異なる側面が見えてきます。台湾社会のLGBTの受容を巡る問題について理解を深めたい人には必見と言える一作です。
公式サイト:https://www.smalltalktw.jp/
- 台湾のLGBTについて理解を深めたい人
- 家族のドキュメンタリーに興味がある人
2019年に台湾で興行収入2億6000万台湾元(約10億3000万円)の大ヒットを記録した『返校 言葉が消えた日』。国民党による独裁政権の下で言論統制が行われていた1960年代の学校を舞台としたダークミステリーです。夜中の学校に閉じ込められた高校生男女が脱出を試みるうちに、過去の悲しい物語が解き明かされていくーという物語が展開されます。独裁政権や言論統制と聞くと、「難しいの?」と身構えてしまうかもしれませんが、この作品はエンタメ映画に仕上がっているので、重さはそこまでありません。ホラー要素はややあり。当時はほぼ新人だったワン・ジン(王淨)やツォン・ジンファ(曾敬驊)が高校生役を、実力派イケメン俳優筆頭株のフー・モンボー(傅孟柏)が教師を演じます。監督は今作で長編デビューしたジョン・スー(徐漢強)。同名のホラーゲーム(PC・スマホ)が原作となっています。物語の筋はゲームのほうがわかりやすいので、理解を深めたい人は予習復習にゲームを遊んでみるのもおすすめです。
公式サイト:https://henko-movie.com/
- 台湾の歴史に興味がある人
- ホラーが苦手ではない人
台湾のベテラン監督、チェン・ユーシュン(陳玉勳)の最新作『1秒先の彼女』(消失的情人節)は、「目が覚めたらバレンタインデーが消えていたー」というところから物語が始まるラブファンタジーです。失われた七夕バレンタインの謎を追い求めるシャオチーは、人より早いテンポで生きる女。シャオチーが務める郵便局に毎日郵便を出しに来る変わり者のグアタイは、人より遅いテンポで生きる男。この2人のそれぞれの視点で奇想天外な物語が展開していきます。主演はリウ・グァンティン(劉冠廷)とリー・ペイユー(李霈瑜)。コミカルな演技を披露しています。台湾の田舎の風景も登場し、台湾らしい人情味も感じることができます。何も考えずにのんびりと映画を見たい気分の時にぴったりな作品です。
公式サイト:https://bitters.co.jp/ichi-kano/
- 肩肘をはらずにのんびりと映画を見たい人
- 台湾らしいほのぼのとした雰囲気を味わいたい人
以上、今夏日本で公開される台湾映画5作品を紹介しました。
この5作品はいずれも台湾の映画祭で賞を受賞しており、台湾内では高い評価を得ています。映画の好みは人それぞれなので、万人におすすめするのは難しいのですが、この5作品の中で私が好きな作品を一つ選ぶとすると『親愛なる君へ』です。モー・ズーイーの魅力がぎゅっと詰まっていて、それだけで見る価値あり!!
5作品はどれも雰囲気が異なるので、この記事を作品選びの参考にしていただければ嬉しいです。
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