日本時代のたばこ工場を再利用「屏菸1936文化基地」が面白い

台湾には日本統治時代の工場跡を再利用した文化施設が各地にあります。

屏東県屏東市にある「屏菸1936文化基地」もその一つ。2022年春にオープンした新しい文化施設です。

元はたばこ工場として1936年に設置され、当時は屏東のタバコ生産地の指導や買い付け、加工、貯蔵などが行われていたそう。戦後も引き続きたばこ工場として使われましたが、2002年に供用が停止されました。2010年に一部施設が、2017年には工場エリア全域が県の歴史建築に登録され、新たな形に生まれ変わりました。

正直、あまり事前情報をチェックしておらず、そんなに期待せずに訪問したのですが、予想を遥かに上回る内容の充実ぶりでした!屏東市を訪問した際には行く価値ありです。

園内には緑がたくさん

屏菸1936文化基地とは

屏菸1936文化基地入口
屏菸1936文化基地入口

たばこ工場跡地を再利用したミュージアム施設です。屏東市の中心部から徒歩で20〜30分程度という立地です。敷地内には当時の設備などを見学できる「屏東菸葉館」や客家をテーマにした「屏東客家館」、台湾原住民(先住民)族の文化を紹介する「屏東原民館」、テクノロジーを活用した没入型展示が楽しめる「沉浸式體驗館」などがあります。園内への入場は無料ですが、上記の4つの展覧会場への入館は有料。入館料は大人199台湾元(約900円)でした。展覧館の他、ギフトショップもあり、ちょっとおしゃれな屏東土産を買うこともできます。

チケット売り場
チケット売り場
チケット
チケット。入館料を払えば常設展3館と沉浸式體驗館に入場できます。

私は最初は「展示は見なくてもいいかな〜」と思っていたのですが、せっかくはるばる歩いてきたのに外観を撮影するだけでは物足りないなと重い、有料チケットを買うことに。結論としては、あの内容で199元は安い!なので、行く方は有料チケットの購入を激しくおすすめします。

沉浸式體驗館

私がチケットを購入した時点で閉館時間まで2時間を切っていたので、チケット売り場の人からのおすすめでまずは閉館時間がやや早い「沉浸式體驗館」にまず向かうことに。この体験館は期間ごとに展示が変わり、この時にやっていたのは「屏行宇宙」という展示でした。

「沉浸式體驗館」入口
「沉浸式體驗館」入口

入り口の黒いカーテンをくぐると、まず広がったのは、だだっ広い空間の壁と床全面に映像を投影した展示。年代を追う形で屏東の変遷を紹介していました。かなり迫力があり、後から入ってきた子供は大興奮していました(笑)

「沉浸式體驗館」屏行宇宙
だだっ広い空間で、屏東の歴史の移り変わりが紹介されていました

その次は、レトロな雰囲気の屏東の看板を集めた展示。ここは写真撮影にもぴったり。他にも、屏東県内の各地の人気投票を行うコーナーがあったりと、「見る」だけでなく「体験」を存分に楽しめる展示が行われていました。

レトロ感たっぷり
こちらは参加型展示。下方にボタンがあって、自分の好きな屏東の地域に票を入れられます(ただ、票を入れたところで何かあるのかは不明)
「我是○○人」のスタンプも用意されていました

個人的にいちばん楽しかったのは、万華鏡みたいな小部屋の空間。めちゃくちゃ映えます。私は一人で行ったのですが、この時はお客さんがだいぶ少なかったのもあって、一人で動画&写真撮影をけっこう長い間楽しんでいました。混んでいる時だと撮りにくいかもしれないので、人が少ない平日夕方は狙い目です。

映像が投影された部屋。小部屋が3カ所ほどあり、これは屏東に咲くブーゲンビリアとカンラパ・プルック(花旗木)をイメージしているそう。
中に入るとこんな感じ

沉浸式體驗館は来場者が「楽しむ」ということを意識した展示が行われていて、屏東らしさも十分に感じられました。台北にあったら大人気だろうなと思えるくらいのクオリティーの高さでした。

屏東菸葉館

その次に訪れたのは「屏東菸葉館」。おそらくここがメインの展示場です。屏東菸葉館と屏東客家館、屏東原民館は同じ建物の別のフロアに入っています。

菸葉館には、たばこ工場だった時代に使われていた設備が残っていて、とてもメカニカルな雰囲気。設備の間を通り抜けるトンネルは音楽と光の演出がなされていて、ちょっとしたアトラクションのような気分を味わえます。鉄パイブや通路などが絡み合う一角は写真撮影スポットにもなっています。

機械の間の狭い通路を通り抜けます
おばちゃんがたくさん写真を撮ってくれた映えスポット

ここでは、スタッフのおばちゃんがめちゃくちゃ暇だったのか、たくさん私の写真を撮ってくれました(笑)。

余談ですが、屏東に行って思ったのは、台北よりも人が優しい!!台北の人も優しいけど、屏東はそれ以上に温かみを感じました。

屏東原民館

お次はエレベーターで3階に向かい、原民館へ。原民館の常設展は「斜坡上的子民」と題し、屏東のパイワン族とルカイ族に関する展示が行われていました。展示物はそんなに多くないのですが、原住民文化を体験できるゲームコーナーもあり、子供も楽しめそうです。

体験コーナー

屏東客家館

最後は2階の客家館へ。客家館も没入型展示が行われており、近未来感満載。高雄と屏東の一部地域の客家は「六堆」と総称されているそうで、六堆の客家の文化や産業などが紹介されていました。

  • 屏東客家館
  • 屏東客家館

ギフトショップ「好屏製造所」

ギフトショップは、おしゃれなパッケージの屏東産農産加工品や工芸品などが取り揃えられています。台湾の地方に行った時、「お土産を買う場所がなくて結局何も買えなかった…」ということがけっこうあるので、こういうショップが併設されているのはとてもありがたいです。文化基地を訪れたのは屏東旅行の初日だったのですが、「たぶん他にお土産買う機会なさそうだな」と思い、ここでまとめ買い。その後、案の定お土産を買える場所に遭遇しなかったので、ここで買って大正解でした。

食べ物系だと、醤油やドライフルーツ、麺、果物酢、チョコレート、お茶などがありました。私が気になったのは果物酢。梅やパイナップルなどノーマルなものの他、トマト酢やオリーブ酢など珍しいお酢もあって、興味をそそられました。私はクワの実とトマトで悩んだ結果、トマトを購入。(ただ、帰って飲んでみたところ、トマト酢は私の予想していた味とは違いました汗)

グッズ系だと、サンダルやせっけん、キャンドル、髪飾りなどもありました。私は刺繍のヘアピンがすごく気になって買おうかどうかしばらく悩んだのですが、「勝利星村」と書いてあって、この場所は翌日に行く予定だったので、「そこで買えばいいかな〜」と思い保留に。ですが、「勝利星村」に行ってみたところ、髪飾りのお店が見当たらず、結局買えずに、「あ〜、やっぱり昨日買っておけばよかった」と大後悔したのでした…。「旅先で気に入ったものがあればその場で買え」という戒めを改めて感じました。

私は2時間余りで園内を巡ったのですが、最後の方は閉園時間が迫ってだいぶ駆け足になってしまったので、もうちょっとゆとりを持っ ていけばよかったなと思います。3時間くらい見て行くと、もっとゆっくり見られていいのではないかと思います。

ちなみにこの時はNintendo Switchの体験展示もやっていて、ピカチュウがお出迎えしてくれました。

来園者をお出迎えしてくれるピカチュウ

台湾内には日本時代の施設を再利用した文化施設がたくさんありますが、この「屏菸1936文化基地」は「体験」に焦点を当てている印象で、展示自体も工夫が凝らされていて、かなり内容の質が高い施設だと感じました。見応えはたっぷり。屏東市はだいぶマニアックな旅行先かもしれませんが、屏東市を訪れた際はぜひ屏菸1936文化基地に行ってみてほしいです!

kuroqie
kuroqie

余談ですが、台湾人の知人数人に「屏東市に行く」と行ったら、「何があるの??」と言われました。だいたい北部の皆さんは「屏東に行く」と言えば、小琉球とか墾丁とかが定番らしいです。

基本情報

住所:900屏東縣屏東市菸廠路1號
休園・休館日:月曜
公式サイト:https://www.cultural.pthg.gov.tw/pt1936/Default.aspx

コメントを残す