私があるブログ記事を「パクリ」と断定するまで

 私のTwitterを見てくださっている方ならご存知かもしれないが、最近、心底腹立たしい出来事があった。

 朝、出勤途中、いつものようにメトロでTwitterを確認していたところ、ある投稿に目が留まった。

 「これ、私が書いた文章に言い回しが似てる」

 まあでも、Twitterの文章はたかだか1投稿最大140文字。私が引っかかったのはあるフレーズだったのだけれど、もしかしたらたまたま同じになってしまっただけかもしれない。この人はまさかパクリなんてしないよね。そう思いながら、その投稿に記載されていたブログ記事のURLをクリックしてみた。

 そして、読み進めてみたところー。

「これ、私が書いたのと全く一緒…」

 ある1文が、私がこのブログではない別の場所で、仕事として執筆した文章に出てくる1文と全く一緒だった。

 恐る恐るさらに読みすすめるとー。

「完全にコピペじゃん…」

確信した。

 私が書いた文章の中には、中国語の参考情報から一部をピックアップしてリストとして独自に整理し、それをさらに日本語翻訳した内容があったのだが、それとほぼ同じ内容のリストがそのブログ記事にはあった。一部、私が作ったリストには、中国語の原文と単語の順番が入れ替わっている箇所があったのだが、順番まで私と一緒だった。入れ替わったのはたまたまで、特に意味はない。入れ替えても入れ替えなくても内容に影響はない。だから、こんな偶然はコピペしかありえない。

 ただ、リストがブログ記事の一部としてコピペされる分には問題はない。きちんと「引用」の要件を満たしてさえいれば、コピペは著作権違反にはならない

 引用の要件はいくつかあるが、大まかには「引用元の明記」「当該部分が引用であることを明確にする」などが求められる。

参考 5.1 著作物の引用の要件・ポイント弁護士法人クラフトマン

 そこで、その記事の中で、私の著作物が引用元として記載されているかをくまなく調べた。

 すると、目立たない場所に「参考はこちら」の一言と、URLのリンクがあった。

 クリックしてみた。

全然私の書いたものじゃなかった。

 リンク先は、とある公的機関のウェブサイトだった。

 まあでも、もしこのサイトに、当該のブログ記事に書かれている内容があるんだったら、それは問題ない。パクったのは、この公的機関かもしれない。可能性は低そうだけど。

 そう思いつつ、この公的機関のホームページで、該当しそうな情報を探してみた。

 関連の情報は載っていた。

 でも、私が書いたリストはどこにもなかった。さらには、このリストを作るのに必要な情報も載っていなかった。

完全にクロじゃん。

 パクられた著作物は、私がお金をもらって書いているものである。無料で公開されているから、見る側はタダだが、それを作るのにはお金がかかっている。そして、私の労力もかかっている。私がこれまで積み上げた経験がそこには詰まっている。だから、タダで見られるからパクっていいなんてロジックは通らない。

 「これは見過ごせない」

 ただ、パクられた著作物は私が書いたものだが、著作権は私に属さない。だから、上の人に相談した。そして、このブロガーに警告文を出す許可をもらった。

 そして直接、警告文を送った。なるべく冷静に、感情的にならないように。そして、このブロガーさんをなるべく傷つけないように。

 だから最初は「複製」という文言を使おうと思ったけれど、完全なる複製ではなく、一部手を加えた部分があったため(余談だが経験上、確信犯ほど完全コピーではなく、一部をいじる。逃げ道を残す意図があるのだろう。せこい)、「酷似」という柔らかい表現に変えた。しかも、問題視しているのは全部ではなくて、一部分であることも加えた。引用元を書き忘れただけの可能性も拭いきれないし、ただ無知なだけで、悪気はないかもしれない。できるだけ正確に、婉曲に指摘したのは私なりの優しさだ。

 だが、私の優しさは届かなかったようだ

 ほどなくして、このブロガーから返事が帰ってきた。

 この返事は、私をさらに怒らせるものだった

 一応、謝罪の言葉はあった。

 だが、この謝罪はパクリをしたことに対するものでなかった。

 大まかにいえば、「疑いを招く記事にしてしまったこと」を詫びるものだった。

 あくまで、このブロガーは「書いたのは自分。パクっていない」と主張したいのだろう。

 記事はその後、非公開にされた。

 非を認めない謝罪ほど、虚しいものはない。

パクリはなぜダメなのか

 ここで、まず問題の根本に立ち返ってみる。

 「パクリはなぜダメなのか」

 一般の良識ある人は、こんなこと言われなくてもわかっていると思うが、平気でパクる人が跡を絶たないため、一応考えてみることにする。

1. 法律に違反している

 台湾の法律では、民事、刑事両方の責任を問われる可能性がある。

参考 著作權歸屬問題全國法規資料庫

 でも、実際、裁判になる可能性は低い。企業間だと当事者同士でお金のやり取りが生じる場合もあるが(経験談)、ブロガーレベルだと裁判沙汰や賠償まで発展することはほぼないだろう。でも、捕まらないからといって、違法行為をしていいわけはない。

2. 人の技術を横取りして自分の功績にする行為である

 私が一番怒っているのはここだ。

 パクられたリストというのは、数多くの単語を翻訳する必要があるものだった。一部は、しっくりくる訳語を探すために、いろいろ調べもした。そして、原文を全て訳すのは大変だし、読者にとっても全て見るのは負担だから、できるだけ重要性が高いものを一部だけ選んだ。ここは私の経験に基づく判断だ。 

 おそらくパクった人は、こういった工夫があることを知らないのだろう。隠蔽のためか、別の意図があるのかは分からないが、一部の項目は、この人が自分でいくつか単語を付け足していた。でも、この単語の翻訳が全く素人だった。原文に書いてあるものが何を指すのか調べもせず、表面的に訳した結果、日本語としては全く意味が分からない訳語になっていた。

 実際には翻訳ド素人なのに(言葉が強くてすみません)、別の人の翻訳したものを使うことで、読者にはこの人があたかもある程度の翻訳ができる人のように見えてしまう。それは読者を欺く行為だ。

 パクリは、パクった相手への侮辱であるとともに、読者への侮辱でもある

 しかも、このブロガーはグーグルアドセンス(※)を導入しているようだから、記事を量産すればそれだけ収入が増えやすい。労力なく書いた記事で儲けようなんて、言語道断だ。私は、こういうブロガーこそボイコットの対象になるべきだと心から思う。

 ※Googleが提供する広告配信サービス。このサービスを利用すれば記事内に広告を貼ることができ、クリックされるなどすると広告収入を得ることができる。独自にブログを運営するブロガーの多くが導入していて、私も導入している。一つのブログ記事をきちんと書くためにはそれなりの労力がかかるため、それらのブログによって収入を得るのは正当な行為である。だが、コピペで時間も手間も省いた記事で収入を得るのはズルである。

最後に

 最後に、これだけは言っておきたい。

 「失敗」とは、真っ当な努力をした末に上手くいかなかったことを指すものだ。間違ったことをしたのは「失敗」ではなく、「過ち」である。

 もし、間違ったことをしてバレてしまった、それを「失敗」だと考え、過ちに正面から向き合わないのであれば、その先に前進などありえない。

 私はそう考える。

平気でパクる人ってなんで謝れないんだろう。
私はこれまでに3回パクリを指摘したことがあるけれど、ちゃんと謝罪されたことって一度もないよ。
「バレた。運が悪かった」くらいにしか思ってないのかな。

 

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