台湾でおろし金難民になった話~見えてきた日台の食文化の違い~

 先日、新竹に行った時にうかがったお店で食べた和牛のおろしポン酢があまりにも美味しくて、「家で真似してみよう!!」と思った私。大根と、ちょっと良いお肉を買ってきたところで、おろし器がないことに気が付いた。

 正確にいえば、おろし器はあるのだが、薬味用の極小サイズだけだ。この時は仕方ないから、この小さなおろし金で頑張った。


 でも、まだ大根は余っている。だからもう一度作りたい。

 そこで、おろし金の購入を決めた。


 しかし、これが長い旅の始まりになったのだった…。

おろし金に出会うまでの長い長い道のり

 まず向かったのはおなじみの全聯。最初から期待薄ではあったのだが、案の定無かった。

 次に向かったのは大きめの五金行。五金行(ウージンハン)とは、日用品を扱うお店だ。今回行った大きめの店舗は文具から日用品、食器、生活家電まで、生活用品を何でも扱っていて、日本でいえばドン・キホーテのようなところだ。


 ここならきっとあるだろう。

 そう思っていた私が甘かった。

 調理用品売り場に行くと、食器やボウル、保温瓶、コーヒー用品はこれでもかというほどあるのに、おろし金はどこにもない!!

 3回くらい売り場をぐるぐる見回ったが、見つけることはできなかった。

 「五金行にもないとは…」と衝撃を受けつつ道を引き返していると、偶然にも金物屋さんを発見した。

 ショーケースを覗いてみたところ、それらしきものがあるではないか!!

 昔ながらの個人商店といった雰囲気のお店だったため、やや緊張しつつドアを開け、中に入った。

 そして、さっき見たおろし金のところへ。

 値札シールが貼ってあった。

「きゅ、950元!?」

 予想をはるかに超える値段だった。おそらく良い品物だとは思うのだが、こんな高いのは私にはいらない。もっと安いのでいい。

 店主が「なにがいるのか」と声をかけてきたので、「これのもっと安いのはありませんか」と聞いてみた。

 店主の答えは「これしかない」だった…。

 無念。

おろし金は「磨泥器」

 この時なって、「そういえばおろし金の中国語が分からない」と気付き調べてみた。

 「磨泥器」と言うらしい。

 ちなみに、台湾のネットショップで検索してみると、いちおういくつかの商品はあった。

 だが、私はなるべく実店舗で実物を見てから買いたい派であるため、ネットは最後の手段として取っておくことにした。

 おろし金難民になっていることを日本出身の同僚に話したところ、「デパ地下のスーパーとかダイソーで売っている」との情報を教えてもらった。

おろし金を探す旅に再出発

 そこで仕事帰りに、明曜百貨に入っているダイソーにまずは行ってみた。

 「ある」雰囲気はプンプン漂う。

 おろし金、おろし金―と売り場のありそうなコーナーを探した。

ダイソーの調理器具売り場

 おろし金はあったはあったが、小さい薬味用しかなかった…。

 私がほしいのはこれではないのだ!

「ぽいのがある!」と思ったが千切りスライサーだった


 その下層階にニトリも入っているので、ニトリも探したが、ここでも見つけられなかった。(でもここはざっとしか見ていないので、よく探せばもしかしたらあるかもしれない)


 続いて向かったのは、忠孝復興のSOGO。ここの地下スーパーは確か調理器具が売っていたと記憶しているので、期待を胸に歩を進めた。

 でも、やっぱりなかった…。

SOGO地下の「city super」。この右のは大根をおろせるとは思うが、私は穴が空いているタイプがほしいのだ

 おろし金はあったが、私がほしいのは穴が空いた普通のおろし金なのだ!!!

 諦めて帰ろうとしたところ、「そういえばここにはハンズがあった」と思い出した。

 あまり行かないから、存在を忘れがちなハンズ。でも、ここならある気がする。

 ありますように…と期待を込めながらエレベーターで8階へ。


 あった!!!!!!

HANDSでやっと出会えたおろし金たち(1)

 しかもいろんな種類がある!!!!

HANDSでやっと出会えたおろし金たち(2)

 ネットで下調べした時に評判が高かった商品もあった。

 これにしようかどうかしばらく悩んだが、価格が1080元とかなり高い。アマゾンでは2000円未満で売られているものを倍近い金額で買うのは嫌だ。

 そう思い、もう少し安いけれど評判が悪くないものにした。

 こうして私のおろし金を探す旅は終わりを迎えたのだった。

私が買ったおろし金(380元)

台湾人は大根おろしを食べない?

 おろし金難民になって見て気付いたのは、台湾ではおろし金の需要がかなり低いのであろうということ。

 確かに、私が普段利用するローカルフードの飲食店には、大根おろしを使用するメニューがない。

 台湾で大根おろしに出会うのは、日本料理屋以外だと、火鍋屋の薬味ぐらいではないか。

 では台湾の人は焼き魚をどうやって食べるのだろう?台湾でもサンマは食べる。

 台湾人の上司に聞いてみた。

 上司の家では、サンマは電鍋で蒸すことが多いらしい。焼き魚は食べないわけではないが、その時は塩のみで、レモンや大根おろしを添えることはないということだった。

 おろし金難民になって見て初めて気が付いた台湾と日本の食文化の違い。こうした違いは細かなところに現れるのだと改めて感じ、非常に興味深い経験だった。

台湾の方に質問


あなたの家では大根おろしは食べますか?焼き魚はどうやって食べますか。

我想問台灣讀者朋友問一個問題。你家會吃白蘿蔔泥嗎?吃烤魚時配什麼來吃?

こぼれ話

 私がほしいのはおろし器だったのだが、ダイソーにもcity superにも、東急ハンズにも、なぜかピーラーは「これでもか!」というほどあった。

 ピーラー需要はそんなに高いのだろうか。これも気になる。

ハンズに売ってあったピーラーたち

 これも余談だが、冒頭に出てきた牛肉のおろしポン酢の話。本当は日本和牛を買いたかったのだが、1パックどれも1000元以上という予想以上のお値段で買えなかった…。だから、買ったのはその3分の1くらいの価格のオーストラリア産だった。でも、やっぱりオーストラリア産だと、この前の和牛と全然味が違った。

 きれいなすき焼き用とかA5ランクとかまではいらないから、切り落としとかも売っておくれ〜と心から願う。

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