娘と母の関係描く台湾映画『小雁與吳愛儷』 じんわりと心に染み入る 



キミの演技クラスでの、あの演技、めちゃくちゃすごくなかったですか???
演技クラスにいることを忘れて、自分の感情の中に入り込んでるみたいなあの雰囲気に、かなり引き込まれました。

冒頭の、血を流しながら現れるシーンも好き。

全体的に、殺した相手、その背景、父親の人物像が、説明せずとも徐々に分かってくる感じもいいなと思いました。

そして、最初はキミの一人二役?と思わせた演技クラスのアイリー。トム監督いわく、最初は本当に別の人物としてシナリオを書いていたそう。でも、書き進めるうちに、「同じ人物にすべきだ」と感じて、最終的に、あれは髪を切った小雁だったという流れにすることにしたそうです。

小雁が最後に橋の上で「吳愛麗」と母親の名前を呼ぶシーンはクライマックスにして最高に良かった。お母さんは気づいてないけど、「大好きだよ」という思いを伝えたかったんですよね。嫌いなんだけど、愛もある。でも正面から愛を伝えたりは恥ずかしさとか自分の中の葛藤もあって言えない―という親子ならではの感情がギュッと詰まったワンシーンで涙がじんわりと溢れてきました。これは本当に名シーン。

作品はここで終わるけど、この2人はこれから、喧嘩しつつも支え合って生きていくんだろうなと前向きな未来を感じさせてくれたのも良かった。それに、なんだかんだで、お母さんも小偉を受け入れてくれて、3人で家族になれそうな感じで一安心。

この作品でただただ可哀想だったのは小偉ですよね…。彼には何の責任もない。作品中のセリフを借りれば「選んでこの家に生まれたわけじゃない」。初めて会った、しかも父を殺した実の姉という人にいきなり預けられ、そしたら次は全く知らない他人の家に預けられることになり、帰ってくると信じていたお母さんには裏切られ…って、ヘビーすぎる。辛すぎる。小偉のためにも、2人には仲良くしてほしいと思ったのでした。

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