大阪アジアン映画祭で「来るべき才能賞」と「ABCテレビ賞」を受賞した台湾映画「Salli サリー」(莎莉)。台湾でも4月3日に公開されたので、映画館で見てきました。
アラフォー女性がマッチングアプリでの出会いを通じて自分の人生と向き合う物語です。
エスター・リウ(劉品言)演じる台中の田舎で養鶏場を営む冴えない独身女性・ホイジュン(林惠君)が、15歳の姪っ子に勧められてマッチングアプリを始めたところ、イケメンのフランス男性とマッチング。やり取りが進むうちに甘い言葉をかけられて恋に落ちるものの、周囲からは騙されているんじゃないかと疑われーというストーリーが展開されます。
メガホンを取ったのは、新鋭監督のリエン・ジエンホン(練建宏)。弟役にリン・ボーホン(林柏宏)、リン・ボーホンの幼馴染役にリー・インホン(李英宏)が顔を揃えました。リー・インホンはこの作品の音楽も担当しています。
以下ネタバレを含む感想です。内容を知りたくない人は閲覧注意。
前半は養鶏場のシーンが多く、鶏や犬がたくさん出てきてめちゃくちゃ癒し。画面もポップな色使いが印象的でした。ですが、後半に進むにつれて、ホイジュンの内面の苦しみが描かれるようになり、やや重さも出てきます。
今作でのエスターは田舎の「おばちゃん」という役どころ。最初のシーンはおそらく完全にノーメイクで肌も疲れた感じで、おばちゃん感がだいぶ漂っていました。恋愛をするようになって化粧をするようになり、だんだんきれいになっていきます。もともとアイドル出身のエスター。おばちゃん役って抵抗もあったんじゃないかなと思うのですが、俳優として歳を重ねていく上で新たな一面を見せてくれたんじゃないかと思います。
ちなみに、マッチングアプリに登録する際、姪っ子が「養鶏してるからサリーにするね」と言っていて、私的には「??」だったのですが、「サリー」=LINEのあの鳥のキャラだから鳥=「サリー」とのこと。なるほど〜。
物語の自体はわりと予想通りに進んでいく感じで、途中、パリでワンナイトラブをしてしまう場面は個人的にはちょっとあんまり…と正直思ってしまいましたが、それでも、主人公が前を向いて進んでいく姿は心の中に爽やかな風を吹かせてくれるような、すっきりとした気持ちにさせてくれました。
最後に特筆すべきは音楽。物語が平坦に進む中、リー・インホンの表情豊かな音楽が作品全体にメリハリをつけてくれていたように感じました。
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