新感覚の台湾サスペンスドラマ「未来モール」 ハラハラと温もりが絶妙

 一連の事件の鍵を握るのは、未来のネット通販サイトだったーー。

 『未来モール』(預支未來、Futmalls)はそんな奇想天外な内容を描く新感覚の台湾サスペンスドラマです。

 第1シーズン(全8話)が2020年12月、優酷やNetflix、myvideoで配信開始されました。

 ユニークな設定が気になって見てみたところ、予想以上に面白かった!ミステリー的なハラハラ感を感じつつも、心温まる人間模様がバランス良く展開され、とても見やすい作品でした。

 この記事では作品情報とその見どころ、感想を紹介します。

『預支未來』予告編(中英字幕)

あらすじ・作品情報

 舞台は架空の都市・鈦城区。ある日、人気ミステリー作家が自宅で変死体で発見される。捜査が進むにつれ、事件が未来のネット販売サイトで購入した本と関係していることが分かって…。

 監督は「愛情無全順」のライ・ジュンユー(賴俊羽)。2007年には「言えない秘密」(不能說的秘密)で視覚効果賞を受賞しています。

 脚本は文化部(文化省)主催のシナリオコンテスト「優良電視劇本創作奨」で2016年度の佳作に輝いたシュー・チャオリン(許肇玲)の「未来商場」が原案となっています。

 中国のネット配信サービス「優酷」が一部出資しています。

キャスト・登場人物

 第1シーズンは3章に分かれています。

 全話を通じて主要キャストを務めるのはチャン・シューハオ(張書豪)、ユージェニー・リウ(劉奕兒)、ブルース・ハー(禾浩辰)、シャオ・ユーウェイ(邵雨薇)。近年高い注目を浴びる俳優が勢揃いしました。

 これに加え、第1パート(1~3話)はアリソン・リン(林予晞)、ホアン・ハー(黄河)の美男美女、第2パート(4~5話)はホアン・ジャーチエン(黄嘉千)、チュー・チョンハン(屈中恆)といったベテラン勢、第3パート(6~8話)は実力派のウー・ジェンハー(巫建和)がそれぞれ物語の中心となります。第1パートについては3話までで事件が解決するわけではなく、4話以降でも支線として物語が進行していきます。

チャン・シューハオ:趙旭鎮(シュージェン)
鈦城区で起こる不可思議な事件を調査する熱血刑事。

ユージェニー・リウ:楊念君(ニエンジュン)
シュージェンの婚約者で精神科医。生前のヨンリーのカウンセリングを担当していたことから、事件の調査にも参加する。

ブルース・ハー:李仲偉(チョンウェイ)
シュージェンの弟でネット犯罪の専門家。

シャオ・ユーウェイ:白詠心(ヨンシン)
ヨンリーの妹。人気ユーチューバー。真相解明に協力する。

アリソン・リン:白詠琍(ヨンリー)
人気ミステリー作家。変死体で見つかる。未来のネット通販サイト「Futmalls」にアクセスしていた。

ホアン・ハー:劉向達(シャンダー)
ヨンリーの夫。売れない作家。

ホアン・ジャーチエン:江美珍(メイチェン)
シュージェンらが勤務する警察署の従業員。Futmallsで目薬を購入したことで、異変が起きる。

チュー・チョンハン:陳冠廷(グアンティン)
メイチェンの夫

ウー・ジェンハー:詹國祥(グオシャン)
人気ユーチューバー・YoYoにそっくりな空気人形をFutmallsで購入し、彼女にする内向的な青年。

見どころ・感想

 まずはなんといってもキャストの演技。特に印象に残ったのは、ホアン・ハーとユージェニー・リウです。ホアン・ハーは文句なしのイケメン俳優だと思うのですが、今作ではイケメンを完全封印。うだつが上がらず、妻に高圧的な態度をとるヤバい男を好演しました。狂った男の演技はホアン・ハーの印象を覆しました。

 ユージェニー・リウは、私の中で印象に残っているのは映画「怪怪怪怪物!」で、派手な印象が強いのですが、今回演じたのは地味でおとなしく、恋人を後ろでそっと見守るような女性医師。あまりにも印象が違ったので、最初は「見たことあるけど誰だったけ」という感じで、出演者リストを見てやっと彼女だと気が付きました。落ち着いた演技を披露しています。 

 次にテンポの良いストーリー展開。1話40分前後と短く、さらにスピーディーに展開するため、ついつい次から次へと見続けてしまいます。特に第1パートと第3パートはミステリー要素が強く、視聴意欲をそそられました。また、過去を振り返る形で登場人物の物語が明かされていくのですが、それぞれの登場人物の人間ドラマも程よく盛り込まれており、ミステリー、サスペンスのハラハラ感だけではなく、温もりも感じることができました。

まとめ

 台湾の最近のサスペンスドラマで評価が高かった作品といえば「次の被害者」(誰是被害者)ですが、「次の~」は本格サスペンスといった雰囲気でわりと重めのストーリー展開だったのに比べ、「預支~」はより気軽に見ることができます。

 第1シーズンは「え?これで終わり??」という中途半端なところで終わってしまい、謎が解き明かされないままだったので、第2シーズンに期待したいところです。台湾では配信のみでテレビ放送はされておらず、そこまで話題になっていないのですが、ネット上での評判は良さそうです。評判がさらに高まって続編が作られることを切に願います!

※アイキャッチ画像はGerd AltmannによるPixabayからの画像です。

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